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今日はこんなんでした

今日はこんなんでした

宮部みゆき

宮部みゆきの読書備忘録


『東京下町殺人暮色』は長篇ミステリー。単行本が1990/4文庫が1994/10/20。

文庫本裏の宮部みゆきの写真がとってもかわいい。

語りが3人称なのが気になったけど、つまり八木沢順君が語れば良いじゃないかと思ったんだけど、お父さんの八木沢道雄刑事の行動も追わなければいけないのでしかたがないのだ。ストーリーは宮部節、愛すべきキャラクター多。


 幻色江戸ごよみ
『幻色江戸ごよみ』1994/7新人物往来社刊

「模倣犯」の文庫が手に入ったので本棚に並べていた時(読めよ!)ふと、「幻色江戸ごよみ」が目について夜中なのに読み直し始めた。

これは宮部みゆきの時代物の短編集で、幽霊絡みだというと、おどろおどろしいのを想像されて違うのだが、はやりの言葉でいう「スピリチュアル」な話が揃っているので、気に入っている。

第一話の「鬼子母火」の主人公のおとよも大好きだが、人情もので泣きたい時は第四話の「器量のぞみ」がいい。

器量のよくない大女で、貧しい棒かつぎの魚屋の娘お信が、大店の美男子な若旦那から求婚されて嫁に行く。お信の器量がいいから「器量のぞみ」で貰いたいという若旦那に、初めはそんなことはあろうはずもないので、からかわれていると怒ったり疑ったりするお信だが、どうも若旦那は本気でお信を美しいと思っているらしい。

おまけにこれも傍から見たらたいそう美しい若旦那の2人の妹も、自分の器量が悪いと思い込んで病気がち、この家には何かついていると気付いたお信は、夢で美醜を逆転させる祟りをなしている、おくめに会う。さて、

いい話なんだこれが。容姿に不自由な私なんぞのバイブルであり、泣いたらちょっと気が晴れたぞ。(2006/7/6)


『人質カノン』は短編集。単行本1996文庫が2001/9/10

「人質カノン」カノンって何だっけ、辞書で引いても輪唱のことなのか教会法のことなのかまさかキャノン砲のことなのかわからなかった。読解力不足。

「十年計画」女タクシー運転手語り。

「過去のない手帳」和也は電車の網棚で女性誌に挟まった手帳を拾った。

「八月の雪」いじめの描写の所、辛くてはしょって読む。2・26事件のことが出てきて、作者の「蒲生邸事件」という名作を思い出す。

「過ぎたこと」これも学校のいじめが絡んでいる。探偵社勤めの私は電車の中で彼を見つける。

「生者の特権」この田坂明子さんみたいなのが宮部みゆきの描く女性の真骨頂だと思う。

「濡れる心」夫転勤マンション売らなきゃ。


ぼんくら

『ぼんくら』2000/4講談社より刊行

鉄瓶長屋で起こった小さな事件が(いや最初のは殺人だった)短編としても読める様に連なっていき、後半で大きな一つの事件として解決されていく。

めんどくさいことが嫌だ嫌だと言いながら、この一件を解決するのが、町方役人の井筒平四郎=ぼんくらだ。井筒の旦那、私もお徳さんと同じで大ファンです。

他にも魅力的なキャラクターがいっぱいで、「本所深川ふしぎ草紙」と「初ものがたり」の回向院の茂七親分はこの度は名前だけだけれども、その下で働く政五郎は重要な役回りで、ということは、例のテープレコーダーのおでこも出てくる。

子供のいない平四郎が養子に貰おうという弓之助も傑作で、とにかく年中目測にせよ実測にせよ何かを計っている。

若い差配人佐吉だって惚れちゃうようなキャラなんだ。最初は久兵衛だって渋くていいぞ。

ネタばらしそうなのでこの辺で。

あやし あやし

『あやし』2000/7角川刊

これも宮部みゆきの時代物短編集、5番目の話「安達家の鬼」がいい。

天涯孤独の女中の私が嫁いできたのは、先代が一代で築いた筆と墨を商う笹屋。

女中の身分でここに来ることができたのは、夫の富太郎が母親思いで、なまじ、よい家の嫁を貰うと、病んだ母の面倒を見てもらうのに母が気兼ねしてはいけないと考えた末のことで、私はちょうど近所の松竹堂で中風の先代を何年も世話して亡くしたところだった。

世話をし始めるとこの義母は人柄もよく、言葉に裏があるでもなて、松竹堂で受けた辛い目を思い出せばなんということはない。ただこの姑には不思議なところがあって・・・

模倣犯(上) 模倣犯(1)


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